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『くちぶえ番長』重松清 [児童書]

今から 7 年ほど前のことです。
小学生と話していて「重松清」の本の話題になりました。
それ以来、毎年のように、小学生から彼の名前を聞きます。
それも、一人じゃなくて複数の小学生に・・・。

(へーっ! 重松清って小学生にも人気があるんだ!)
でも、よくよく理由を聞いてみると・・・。

私立中学の入試問題に重松清の作品が よく出題されるのだそうです。(^^;

確かに、小・中学生が主人公という作品も多いので、入試問題に採用されるのも何となく納得できます。

で、『くちぶえ番長』です。



くちぶえ番長.jpg

くちぶえ番長 (新潮文庫)

  •  重松清
  •  新潮社
  •  2007/06
  •  文庫 237p



この作品は、雑誌『小学四年生』に連載されたもので、文庫版は それに書き下ろしを加えたものだそうです。

主人公は、小学四年生の男の子ツヨシ。
彼のクラスに転校生がやって来ます。
その名は マコト・・・一輪車と口笛が得意で、髪の毛をちょんまげみたいに縛っている女の子です!

転校初日の挨拶は

「川村真琴です。わたしの夢は、この学校の番長になることです。」
「弱い者いじめを見過ごして逃げるような子は、大っ嫌いです!」


マコトには お父さんがいません。病気で亡くなりました。
そのお父さんの遺言が

 カッコいい番長になれ
 悪いヤツらを倒して、ひゅーっ、と気持ちよさそうにくちぶえを吹く
 そんな番長になれ


だったのです。

正義感が強いマコトは、クラスで仲間はずれにされていた女の子 高野さんにしっかり寄り添ってあげます。
始めは白い目で見ていて「マコト嫌い同盟」を作っていた女子たちも、マコトの明るさと強さに、やがて心を許していきます。


この話は、重松清(1963年生まれ)が自分の小学生時代の思い出を もとに書いたそうです。
確かに、今時の小学生の話という感じはしません。
昭和40年代の小学生のイメージです。
だから、この本を読んでグッとくるのは、小学生本人よりも親世代のような気がします。

私も あるシーンにホロッとしました。

社会科見学・・・もうちょっとで目的地というところで、高野さんがバスに酔ってしまいます。
マコトは高野さんに「外の風にあたって休もう」と声を掛け、バスを降りて二人で歩き出します。
一瞬、迷いましたが、ツヨシもバスを降りてマコトたちと歩いて目的地へ向かうことにしました。
そのとき、マコトが口笛を吹いたのです。その曲は・・・・・・。

『銀色の道』!
『銀色の道』ですよ!
ダーク・ダックスが歌う あの『銀色の道』!
重松清、小物の使い方が実にうまい!! うますぎる!
(;_;)


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コメント 15

caramelpapa


重松さんはあまりというか
ほとんど読んでいませんね

「銀色の道」はピーナッツの方が
思い出深いです

  
by caramelpapa (2008-12-04 22:02) 

びっけ

caramelpapa さん、nice!&コメントありがとうございます。
重松清は・・・私は浅田次郎よりも泣けます。
特に、『ビタミンF 』(七つの短編が収録されている)の『せっちゃん』には、涙・・・涙でした。
(;_;)
ザ・ピーナッツかぁ・・・。
どうしても『恋のフーガ』とか『恋のバカンス』とかが浮かんじゃいます。(^^;
by びっけ (2008-12-04 23:18) 

チヨロギ

『ビタミンF』、私も読みました。重松清は巧いですよね~。
でも『くちぶえ番長』は読んだことがありません。
口笛で「銀色の道」とは、これまた渋い!
塚田茂って、あの「夜のヒットスタジオ」に出てた放送作家の?
彼の作詞だとは全然知りませんでした。
いろんな方面に才能ある方だったんですね。
by チヨロギ (2008-12-05 01:07) 

barbermama

重松清って児童書だけなんですか?
びっけさんの浅田次郎より泣けるという言葉に興味がわきました。
浅田さんのは何冊か読んだけど、“泣かせてみせる”という意図が見え見えであまり好きにはなれませんでした。

私が若かった頃、同じくらい人気のあったデュークエイセスよりもダークダックスの方が断然好きでした。特に“低音の魅力”のゾウさんが!
by barbermama (2008-12-05 09:08) 

薔薇少女

私の夢も川村真琴と同じでした。
小学校の時、虐められっ子だった私は
強くなりたいと、ずっと願っていました。
高校では『影番?』と、秘かに囁かれてました?(笑)
空手を習ったのもそういう経緯?があったからです。
今でもマナー違反する人がいると、
即注意するウザイおばんです。

by 薔薇少女 (2008-12-05 10:38) 

たいへー

昔の番町は、手下の面倒を見たモンです。
今のはウサ晴らしだからなー。
何も産まないですね。
by たいへー (2008-12-05 12:16) 

びっけ

チヨロギさん、nice!&コメントありがとうございます。
口笛を吹けるだけでもカッコイイと思うのに、さらに『銀色の道』ですからねぇ~。小学生らしからぬ渋さですよね。(^^;

私も今回、この記事を書くために調べて、初めて作詞者作曲者を知りました。
ビックリです。
塚田茂・・・テレビに出ていた人という記憶はあったのですが、何の番組か思い出せませんでした。
そうか、「夜のヒットスタジオ」に出ていたのですね!
メガネをかけて、ちょっと下ネタ好きそうな普通のおじさんでしたよね?
(^^;
多才だった塚田氏・・・今年5月に亡くなられたそうです。合掌。
by びっけ (2008-12-06 00:25) 

びっけ

barbermama さん、nice!&コメントありがとうございます。
重松清は、児童文学作家ではなくて普通の(一般の大人向けの)小説家です。
私のブログのカテゴリに当てはめるために児童書扱いしました。
誤解を生んだかも・・・。ごめんなさいね。(^^;

子どもを持つ親の悩みや哀しみや嬉しさや、自分自身が子どもだった頃のほろ苦い思い出や、そんなものが(そうそう! あった! あった!)と、ものすごく自分のことのように感じられる作品を書く作家です。

!! 私もダーク・ダックスの方が好きでした。
しかも、四人の中ではゾウさんが!!
背が高くて黒縁メガネ・・・というのが、幼い私にとっては(父に似ている!)と思ったのでしょうね。
今、見てみると、父とゾウさん、あまり似てないんですけどね・・・。(^^;
by びっけ (2008-12-06 00:37) 

びっけ

薔薇少女さん、nice!&コメントありがとうございます。
えーっ!! 薔薇少女さん、空手を習っていらしたのですか!
今まで抱いてきたイメージと違って、驚きです。(@o@)!
by びっけ (2008-12-06 00:42) 

びっけ

夢空さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-12-06 00:42) 

びっけ

たいへーさん、nice!&コメントありがとうございます。
番長とか親分とか、義理と人情の世界がありましたよね。
私は族の経験とかは無いのですが、昔のその手の人たちには仁義があって、他人に理不尽な迷惑は かけなかったような気がします。
by びっけ (2008-12-06 00:45) 

かおり

記事の中ほどでうるうるしてしまいました・・・(T_T)
実は重松さんの作品は未だに読んだことが無いのですが
冒頭で「小学生と重松清?」と思ってしまったけど
なるほど!こういうお話も書かれていたのですね♪
ぜひとも読んでみたくなりました♥
ダークダックスの銀色の道、今頭の中に浮かんでいます^^
youtubeはあとで聴きにきますね~(・∇・)ノ

by かおり (2008-12-06 10:33) 

びっけ

かおりさん、nice!&コメントありがとうございます。
重松清の小説は、同世代ということもあってか、懐かしい匂いがします。
きっと、かおりさんの琴線に触れる作品もあるはず・・・。
by びっけ (2008-12-06 22:05) 

ねるねるねるね

中2です。
くちぶえ番長を読んで、銀色の道を聞きました。
重松さんすごいです!
追伸:重松さんの本は勇気がでますよね!!
by ねるねるねるね (2013-04-30 19:58) 

びっけ

ねるねるねるねさん、コメントありがとうございます。
現役中学生さんからのコメント、とっても嬉しいしありがたいです。
そうですよね、今の中学生では「銀色の道」を知らないほうが普通ですよね。
でも、ねるねるねるねさんのように、この本を読んで、どんな歌か興味を持って聞いてくださる人がいて、重松清氏も喜んでいると思います。

重松さんの本は、本当に心の栄養になります!
優しい気持ちになれますよね。(^^)v
by びっけ (2013-08-24 14:27) 

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