『生きる』・・・いのち短し恋せよ乙女・・・ [映画]
先週から始まった NHK の土曜ドラマ「再生の町」・・・財政破綻しかかった地方都市で市役所職員が奮闘するという内容のドラマです。
岸部一徳 狙いで見始めましたが、市議会議長役の近藤正臣も、なかなか いい味を出していて、週末のささやかな楽しみになりそうです。
で、このドラマを見ていて、ふと思い出したのが、テーマは全く違うけれど、市役所の職員が主人公というところが同じ・・・あの映画です。
『生きる』 1952 年、黒澤明監督作品。
主人公は市民課の課長、渡辺(志村喬)。
事なかれ主義で決まりきった役所の仕事を淡々とこなしてきた渡辺課長。
地域住民の「暗渠修理及埋立陳情書」も、未決の書類(恐ろしく積み上げてある!)にポイと投げ入れて、おしまいです!
しかし、渡辺課長を人生最悪の事態が襲います。
彼は悪性の胃がんに罹っていたのです。
自分の余命が幾ばくもないと知った彼は、最初のうちは自暴自棄になります。
同じ課で働いていた若い女子事務員が
「役所の仕事は退屈で つまらないわ」
と言って辞めた後、彼女を食事に誘ったり、ちょっとしたプレゼントをしたり・・・若くて生命力に溢れている彼女のそばにいることで、死への恐怖を振り払おうとします。
でも、そんなことをしている俺の人生は、一体 何だったんだ?
彼は、思い立ちます。
あの陳情書に書かれていた住民の願いを実現しよう!と。
渡辺課長が最後に奮闘したのは、住民のため・・・というよりも、自分の生きてきた証しを残したかったためだと思います。
劇中で二度歌われる『ゴンドラの唄』が、今も耳に蘇ってきます。
♪ ゴンドラの唄 作詞:吉井勇 作曲:中山晋平
いのちぃ~短し~ 恋せよ 乙女~
紅き唇 あせぇぬ間に~
熱きぃ~血潮の 冷えぬぅ間にぃ~
明日の月日は ないものを~
死期が近いことを悟ってから行動するのではなく、「生きている証し」を少しずつでも残しながら、日々過ごしたいものです・・・。
◆
今日、かずりんさんのブログで教えていただいた「言霊」というサイト・・・著名人の名言がいろいろ載っている・・・で、バンプ・オブ・チキンの藤原基央が言ったこんな言葉を見つけました。
お前が「死にたい」と言って無駄に過ごした今日は、昨日死んだ奴が一生懸命生きたかった明日なんだ
by 藤原基央
黒澤監督、現役バリバリの頃、よく世界の評価に比べて日本での評価が低いといわれてたみたいですよね~
世界のクロサワが得意な、
面白さてんこ盛りの娯楽大作みたいなのが一段低く見られてたというか…
その点、「生きる」は黒澤監督の名作の中でも、
人間ドラマ的な作品で、
発表当時から日本でも評価が高かったみたいですね
。
by @ミック (2009-09-04 23:51)
「再生の町」見てますよ!
久々に筒井道隆登場で楽しみです!
岸部一徳は勿論の事、近藤正臣も、若い頃より渋くていい感じですね。
>お前が「死にたい」と言って無駄に過ごした今日は、昨日死んだ奴が一生懸命生きたかった明日なんだ
若いのに何でこんなに深い言葉が湧き出るんだろう
by 薔薇少女 (2009-09-05 08:19)
「再生の町」、なかなか面白かったです。
時勢にマッチした深いドラマを作れるのがNHKのいいところですよね〜。
相変わらず演技が上手いのか下手なのか分からない筒井道隆から目が離せない私でした!
by オシツオサレツ (2009-09-05 09:35)
渋い所を突いてきますね。
まだ見てないんですが、
きっと今なら内容を理解できると思います。
by たいへー (2009-09-05 13:12)
NHKのドラマも気になりますが
「生きる」も実は観たことがありませんでした
大まかなストーリーやブランコで志村喬さんが歌う
ゴンドラの歌のシーンは何度も見たことがありましたけど・・・
藤くんの言葉はなぜかしびれますよねー
by かおり (2009-09-05 13:31)
@ミックさん、nice!&コメントありがとうございます。
そうでしたか・・・世界での評価のほうが先行していた・・・外国で認められると、(それじゃぁ見なくっちゃ!)みたいなところがありますからねぇ・・・日本人。(^^;
この映画はヒューマン・ドラマながら、随所に笑いの要素(ブラックユーモア)が散りばめられていて、そこも興味深かったです。
by びっけ (2009-09-05 23:15)
生きている「証し」ですか・・・。
難しいですよね・・・。
私も「生きる」のDVDを見てみようと思います。
by hituji (2009-09-05 23:23)
薔薇少女さん、nice!&コメントありがとうございます。
「再生の町」・・・いい役者が揃ってますよね!
筒井道隆くんの奥さん役の牧瀬里穂も、久しぶりに見ましたが、相変わらず可愛らしくて感心しましたわ。
藤原語録は、なかなかどうして、深いです・・・。
by びっけ (2009-09-05 23:24)
オシツオサレツさん、コメントありがとうございます。
わぉ! アメリカでも、タイムラグなく? NHK ドラマを見れるのですね?
>相変わらず演技が上手いのか下手なのか分からない筒井道隆から目が離せない私でした!
(^◇^; 私もです。
by びっけ (2009-09-05 23:31)
夢空さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2009-09-05 23:34)
たいへーさん、nice!&コメントありがとうございます。
私も、この映画そのものを見たのは最近です。
私が生まれる前の作品ですから、白黒映画だし、声はぼそぼそしていて聞き取りにくいし・・・それでも、胸にジーンときました。
たいへーさんも、機会がありましたら、ぜひ!
by びっけ (2009-09-05 23:39)
かおりさん、nice!&コメントありがとうございます。
あのブランコで歌うシーンは、名場面ですよね。
哀愁と満足感と・・・いろいろなものが混ざった感情が伝わってきます。
藤原氏の言葉にはハッとするんですよね・・・。
by びっけ (2009-09-05 23:43)
ぼんくらオヤジさん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2009-09-05 23:43)
hituji さん、nice!&コメントありがとうございます。
「生きている証」は、どんな小さなことでも「アリ」だと思うんです。
たとえば、ブログを書くことだって、ささやかだけれど、「生きている証・・・日々何かを考え、感じている証」ですよね?
by びっけ (2009-09-05 23:50)
atoz さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2009-09-07 00:12)
黒澤映画を全部は見ていませんが、これは見ています。
もちろんブランコのところ、とても好きです。
by 春分 (2009-09-10 21:50)
春分さん、nice!&コメントありがとうございます。
あのブランコのシーンの静けさ・・・そこに流れる志村喬の歌う「ゴンドラの唄」・・・印象に強く残るシーンですね。
by びっけ (2009-09-12 00:14)
Betty さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2009-09-15 21:40)