『いっぽんの鉛筆のむこうに』文:谷川俊太郎 [児童書]
小学生の頃こそ、鉛筆でしたが、中学生以降は、ずっとシャープペンシル(シャーペン)を使っていました。
でも、子どもが生まれて、字の練習をするために買い与えた鉛筆。
シャリシャリと木を削る感触、黒鉛の香り、柔らかい芯で書くから書き味も優しくて・・・すっかり魅了されました。
鉛筆がどうやって作られ、私達の手元に届けられるのか・・・・・・それらに関わる人々の仕事ぶり、暮らしぶりを伝える豊富な写真と、簡潔でわかりやすい文章で綴られた本があります。
『いっぽんの鉛筆のむこうに』
まず、鉛筆の芯になる黒鉛。
黒鉛を採掘するスリランカの鉱山で働いているポディマハッタヤさんと、その家族が紹介されています。
彼の長男、9才のサマンタ君が描いたお父さんの絵も載っています。
この本が出版されたのは1989年なので、かれこれ20年前の話ではありますが、その生活ぶりにはハッとします。
子どもたちは8時ごろ、おとなはラジオのニュースを聞いて9時には寝る。放送はあるがテレビはもっていない。
『いっぽんの鉛筆のむこうに』 文:谷川俊太郎
(福音館書店) p.4より
次に、鉛筆に使う木材。
アメリカのシエラ・ネバダ山中で木(インセンス・シダー)を切り出す仕事をしているダン・ランドレスさんが紹介されています。
夏場は、日曜以外は働きづめですが、冬場は木を切り出す仕事ができないので、出稼ぎ・・・なんかはしなくて、冬の6ヶ月はスキーやスノー・モービルを楽しむそうです。
で、驚くのは、5万平方メートルの敷地にたつ家と、馬を3頭持っているというところ!
その木材を製材所に運ぶトラクターの運転手、トニー・ゴンザレスさん。
アメリカから日本まで輸送する船のコックをしているミグエル・アンヘル・シップさん。
日本に着いたコンテナを輸送するトレーラーの運転手 高橋さん。
輸送する立場の人たちについても、彼らの仕事の内容と、家族について書かれています。
そして、山形県にある三菱鉛筆山形工場で働く大河原さんへと話は、つながっていきます。
大河原さんは3人の子どものお母さん。
夫と義父母、みんなそろって7人家族。
毎週火曜日にはママさんバレーの練習をして、働いて得たお金で化粧品や洋服を買って、子ども達には漫画を買ってあげるお母さんだそうです。
最後に登場するのは、川崎市の小学校そばで文房具屋さんを営んでいる佐藤さん。
佐藤さんのつぶやき・・・。
ちかごろの子は鉛筆がなくてかうんじゃないの、あたらしいデザインの鉛筆をあつめるんだよ。
同上書 p.35より
そう言えば、息子の引き出しには、たくさんの未使用の鉛筆・・・いわゆるバト鉛(バトル鉛筆)が入っていました。
いっぽんの鉛筆が子ども達の手に届くまでに、いろいろな人の手を経てくるんだなぁ・・・。
いろいろな家族の暮らしがあるんだなぁ・・・。
そう思うと、ちびた鉛筆もなんだか捨てにくくなります。
とても興味深い本ですね
私は筆記具や紙類が子供の頃から大好きで
学校の近くの文具店、街中の大きな画材屋さんと
隅から隅まで見るていると時間を忘れるほどでした
新学期になると母が三菱鉛筆のuniをケースでくれましたが
ユニ坊主というオマケがうれしかったのを覚えています^^
自分で買うようになってからはサインペンとかカラーのものを
たくさん集めましたねー
結婚する時、膨大なコレクションは姪っ子に譲りました(笑)
もちろん、それまでは大切にしてた・・・つもり
by かおり (2008-09-03 00:06)
これはいい着眼点と、いい本ですね~
こういうモノに、日常の人たちの、日常が見えてくると、
なんでこんなやさしい気分になれるのでしょうか!?
いい本ですね~きっと^^
by ユウスケ (2008-09-03 00:17)
私は鉛筆が好きで、会社では自分用のメモ書きには鉛筆を
使用しています。あの削る感覚もいいですね。(^-^)
私の実家は小学校の前の小さい文房具屋さんでした。
私のおばちゃんがやってたのですが、よその子にも平気で怒る
おばあちゃんでしたよ。私には優しかったですけどね~。(^^;)
by ALBERT (2008-09-03 00:58)
◆文:谷川俊太郎 絵:堀内誠一は<マザーグースのうた>のコンビですネ♪名コンビ♪
◆5万平方メートルの敷地にたつ家…“5万平方メートル”ってなぁに?どのくらいの広さ?“バト鉛(バトル鉛筆)”ってなぁに?
◆おとなはラジオのニュースを聞いて9時には寝る。
地球温暖化防止に貢献する最有力の方法は“夜になったら眠る”ココナッツピリオド博士の元カノは云ってたみたい…もう1時だぁ…反省~
by おきざりスゥ。 (2008-09-03 01:13)
最近は鉛筆を使うことが増えました。
どんな体勢でも字が書ける、画期的なものですよ。(笑
by たいへー (2008-09-03 12:31)
いい本ですね~!
日常的に使っているものが
思いがけない国の人の手で作られているのを
テレビや新聞で知ってびっくりすることがよくあります。
一本の鉛筆にもドラマチック(?)な
生い立ちがあるんですね。
「バトエン」なつかしいです!
もちろん机の中に山ほどストックされてましたよ。
下の子のときはブームが去っていたため
バトエンの意味もわからず兄の買い集めたものを
ハハに持たされてました。
ピーク時は日本の鉛筆生産の1割を占めたらしいです。
そんなに流行ってたんですね^^;
by miyuco (2008-09-03 13:08)
今私の筆記具入れの中を見たら鉛筆が7本も入っていました。
一番書きやすいのは娘が小学校の入学祝いにもらったBですね(笑)
濃い鉛筆が好きで、この前百均で2Bを買ってきたけど色が薄くてダメでした。。
by barbermama (2008-09-03 15:07)
かおりさん、nice!&コメントありがとうございます。
三菱のuni は、子ども心に、ちょっぴり高級ブランド!というイメージで好きでした。
お尻の部分もコーティング?されているのがオシャレだなぁ・・・と。(^^;
ユニ坊主? 名前だけは微かに記憶があるものの・・・えーと・・・。
で、探してみたら、ある方のブログに写真が載っていました!
ボーリングのボールみたいに三つ穴が開いていて、顔みたいに見える丸い消しゴム!!
私も一個だけ持っていましたが、あのユニ坊主、どこへ行ってしまったのでしょう・・・。
姪ごさん、かおりさんの膨大なコレクション、きっと嬉しかったことでしょう!
by びっけ (2008-09-03 22:00)
ユウスケさん、nice!&コメントありがとうございます。
モノに込められた いろいろな人の思いを知ると、モノを粗末にできなくなりますよね。
子どもだけでなく、大人にも読んでほしい本です。
by びっけ (2008-09-03 22:06)
ALBERT さん、nice!&コメントありがとうございます。
そうなんです! あの木を削るシャリシャリ感と、木と黒鉛の混ざった香りが何とも言えずいいんですよね。(^^)v
小学校そばの文房具屋さんのおばちゃんは、親や学校の先生の次くらいに、子ども達に社会ルールを教えてくれる大人でした。
ALBERT さんのおばあさまに叱られた子ども達も、今は大人になって、きっとクラス会などで、懐かしく 「文房具屋のおばさん」を思い出していることでしょう。
by びっけ (2008-09-03 22:12)
takemovies さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-09-03 22:32)
夢空さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-09-03 22:38)
たいへーさん、nice!&コメントありがとうございます。
どんな体勢でも書ける・・・確かにそうですね!!
シャーペンだと、ちょっと力を入れたりすると芯が折れちゃうし、ボールペンだと寝転がって書こうとするとインクがかすれたり・・・。
ちなみに、たいへーさんは、どんな体勢で書いているのだろうか・・・と、ちょっぴり好奇心!(笑)
by びっけ (2008-09-03 22:43)
miyuco さん、nice!&コメントありがとうございます。
私もこの本を読むまでは、漠然と黒鉛は外国から輸入しているんだろうなぁと思っていましたが、鉛筆の木の部分も外国製とは思いもしませんでした。
あっ、この本は少し古いので、ひょっとしたら今は国内産木材も使っているかもしれませんが・・・。
バト鉛
・・・削っちゃうと、書かれている情報が消えちゃうから、削らない鉛筆
・・・遊びのものは学校に持って行ってはいけないけれど、鉛筆だからOK?
鉛筆業界もよく考えたなぁ・・・と思っていましたが、そうでしたか、全盛期はそんなに作られていたのですか!
by びっけ (2008-09-03 22:54)
barbermama さん、nice!&コメントありがとうございます。
今、パソコンのそばにあるペン・スタンドに入っている鉛筆は、HB と2B です。
昔は、硬い芯のほうが、細く綺麗に書けて好きでしたが、今は、柔らかい芯でゆったり太めに書く方が好きになりました。
B かぁ・・・今度買ってみようかな。
by びっけ (2008-09-03 22:57)
おきざりスゥ。さん、nice!&コメントありがとうございます。
・この本で堀内誠一が描いているのは、本に登場した人たちの顔のデッサンです。鉛筆で描かれたデッサン画・・・味わいがあります。
・5万平方メートル・・・めちゃくちゃ広いということでしょう。東京ドーム何個分なんて計算は、私は面倒くさくてできません。(笑)
バトル鉛筆というのは、鉛筆の六面にそれぞれ、攻撃とか守備とか技とか消費HP(体力)などが書いてあって、それを転がして、相手をやっつけるゲームみたいです。息子が持っていたのはポケモンのバト鉛でしたが、今の小学生はドラクエのバト鉛で遊んでいるようです。
・美容のためにも早めの就寝!(笑)
by びっけ (2008-09-03 23:49)
この本昔読んだ時、既にいい大人でしたが衝撃を受けました。
とてもあたり前の事なんだけど、こうやって手元に届くと言う意識がゼロだったんでしょうねえ。
そういえば小学生時代、「シャーペン禁止令」が出た覚えがあります(笑)
でも時代の波には勝てなかったようです。
by ミホ (2008-09-04 01:01)
ナイス押し逃げゴメンナサイ!
明後日から両親の介護で10日間位、宮城へ行って来ます!
面白い物?を取り付けましたので、お暇でしたらブログ
覗いて見てください!
帰りましたら又お伺いしたいと思います。
ではでは、お元気で・・・
(何やかやで忙しくBUNPさん、未だ見てないんですぅぅぅ)
by 薔薇少女 (2008-09-04 18:39)
こんにちは。
「鉛筆がなくてかうんじゃない」・・・
ちょっと胸に刺さりますね。(笑;)
娘達にも気をつけさせないとな・・・。
by Yakoha (2008-09-05 01:20)
ミホさん、コメントありがとうございます。
あっ! この本、読んでらっしゃるのですね!
そうですよね・・・頭では(日本は資源の無い国だから、輸入に頼っている)とわかっていても、その相手国のそれぞれの仕事をしている人たちの暮らしまでは、なかなか考えが及びません。
「シャーペン禁止令」! おぉっ、厳しい!!
私の小学校では、それほどシャーペン派が多くなかったせいか、禁止令というのは無かったです。(^^;
そう言えば、思い出しました。
シャーペンではないけれど、芯の部分(カートリッジ?)だけが8個くらいブロッキングされていて、使い終わった芯のカートリッジ?を抜いて後ろに差し込んで使うのを愛用してました。
by びっけ (2008-09-06 00:28)
薔薇少女さん、nice!&コメントありがとうございます。
今頃は、もう宮城県でしょうか?
朝晩、だいぶ涼しいようですので、風邪など召しませんように!
BUMP は、お時間のある時に ゆっくり見てやってくださいまし。
by びっけ (2008-09-06 00:46)
Yakoha さん、nice!&コメントありがとうございます。
女の子用の鉛筆は、かわいいものがたくさんありますものね。
削っちゃうと、可愛い絵が無くなっちゃうのは、ちょっぴり寂しい・・・。
そんな乙女心も、わかってあげてくださいませ。
by びっけ (2008-09-06 00:57)