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『とってもすてきな動物記者』ジャーナ=アングィッソラ [児童書]

小学3、4年生の頃、はまっていたのが学研の「新しい世界の童話シリーズ」でした。

その中で、今も手元にあるのは『とってもすてきな動物記者』です。
作者はジャーナ=アングィッソラ、訳は安藤美紀夫、絵は遠藤てるよ です。




主人公はジャーナ、若い女性です。
職業は新聞記者。
でも、その生活は、かなり逼迫しています。

  わたしは、もう、なん年も、たべすぎないように、うんと
  たべものをへらしています。
  朝もパン一きれ、おやつもパン一きれ、夜もパン一きれ。

   『とってもすてきな動物記者』
     作 :ジャーナ=アングィッソラ 訳 :安藤美紀夫
              (学習研究社) p.6より

そんな窮乏生活を送っている彼女は、「もんなし新聞」社に押しかけて、なんとか記事を書かせてもらおうと必死です。

でも、「もんなし新聞」社も名前の通り、貧乏ですから、高いニュースソースは買えません。
今日、買えたのは「「飼い主のために七日間何も食べなかった猫」というニュースソースだけ・・・。

でも、ジャーナは何とか編集長を言いくるめて、その猫ちゃんの取材に出かけます。


実は、ジャーナには特殊な能力があったのです。
それは、動物の言葉がわかるということ!

なので、彼女は、七日間何も食べなかった猫本人(猫本猫?!)にインタビューして、その理由を聞き出し、記事を書きました。

猫(エミリエットという名前の牡猫)は、飼い主に こう言ったんだと話してくれたのです。

  『ぼくがついていますからね。
   ぼくたち、あなたを見すてはしません。
   だから、あなたもぼくを見すてないで。あなたが死んだら、
   ぼくだって生きてはいませんからね。
   ごはんだって、あなたがたべられるようになるまで、
   たべません。ひとつぶだってたべません』
                         同上書  p.36より


この猫へのインタビューをもとに書いた記事は世間の評判となり、「もんなし新聞」社も羽振りがよくなります。


次にジャーナがまかされたのは、サーカスから逃げ出して暴れまわり、最後は生後4、5ヶ月の赤ちゃんしかいない部屋に一時間もいたライオンへの取材記事でした。

意気揚々と取材に出かけたジャーナ。
インタビューはきちんとできました。
でも、ジャーナは記事を書き上げることができませんでした。

だって、そのライオンは、人間とライオンは一緒に暮せる・・・と言った後に、こうも言ったのです。

もし、お腹が空いていたら、ひょっとして人間100人のうち1人くらいは食べちゃうかもしれないけれど、人間はこんなにたくさんいるんだから、100人のうちの1人ぐらい、どうってことないだろ・・・って。

さすがのジャーナも、このライオンの主張をそのまま記事にすることはできませんでした。


その後、「もんなし新聞」の編集長(ジャーナの、動物の言葉がわかるというのは嘘だと思っている)とケンカをしてしまい、大手新聞社に自分を売り込みに行くジャーナ。

自分が動物の言葉がわかることを大手新聞社の局長に信じてもらうために彼女がしたことは・・・。

動物園のサル達が、知り合いのチンパンジーの一団が近々、肉屋を襲うことを決めた・・・と話していたのを耳にし、その話を局長に教え、もし本当にそうなったら、私を信じてくださいと言ったのです。


チンパンジーの一団が肉屋を襲って・・・ジャーナの能力は信じてもらえましたが、動物達は怒りました。

もしかしたら、新聞社の誰かが肉屋に警告し、チンパンジー達の企みが失敗に終わってしまったかもしれないからです。

そして、動物達は皆、ジャーナを「スパイ」「裏切り者」と言って、嫌うようになりました。

同時に、ジャーナの動物の言葉がわかる能力もなくなってしまったのです。

さて、ジャーナは、どうなってしまうのでしょう?

動物達と仲直りできるのでしょうか?


あいにく、この本は今は絶版で、古書かオークションでしか入手できないようです。

公立図書館・・・さすがに昭和四十年代の本だから開架書架にはないだろうなぁ・・・。
ひょっとして、書庫にあるかなぁ・・・。

私が利用している近隣の公立図書館3館の蔵書検索をしてみたら、1館にしか、ありませんでした。涙。


◆ 追記 ◆
今や入手困難な本について、途中まであらすじを書いて終わるというのも、いささか無責任ですよね。(^^;
なので、上記ストーリーの続きを簡単に書かせていただきます。


傷心のジャーナは、とりあえず大手新聞社からもらった前払い金で、ひっそりと暮していました。
ある日、ジャーナのことを心配に思った「もんなし新聞」社の仲間が、新聞紙にチーズと薔薇の花を包んで持ってきてくれます。

チーズをかじりながら、その新聞紙を見ていたジャーナはビクッとします。
そこには、こんな見出しが おどっていたのです。

 『キツツキを死刑にしろ』

居ても立ってもいられなくなったジャーナは、なけなしのお金をかき集めて、その現場に向かいます。

そのキツツキは、ミツバチを殺しハチミツを盗んだ罪で、有罪・死刑の宣告を受けたのでした。
必死に止めようとするジャーナ。
キツツキの前に飛び出した時、銃の音が!!


幸い、急所を外れて、ジャーナは一命を取りとめます。
そして、ジャーナに命を助けられたキツツキは動物達にそのことを知らせて回ります。

こうして、ジャーナは動物達と仲直りをすることができ、動物の言葉も また わかるようになったのでした。

そして、経営が傾きかけていた「もんなし新聞」社で、また働きはじめたのでした・・・。


タグ:児童書
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コメント 14

春分

タイトルは記憶にあります。
やはり「科学」と「学習」で育てられた気がします。
それとNHKかな、「みんなの科学」や「四つの目」や。
あの頃の方が、きちんと教育が成り立っていたような気がします。
教育の本はまたどんどん学校で売っていいことにすればいいのに。
by 春分 (2008-01-27 22:15) 

びっけ

春分さん、nice!&コメントありがとうございます。
学研の「科学」と「学習」、そしてNHK教育テレビに受けた影響は、私も大だと思います。
今は、ベネッセの「こどもチャレンジ」が幅を利かせているようですね。
あれもあれで楽しいのですが、学研の雑誌の方が、もっと専門的(マニアック?)で楽しかったような気がします。
by びっけ (2008-01-27 23:49) 

私利私欲のために仲間(動物)を利用するのであれば、それなりの覚悟(能力を失う)を持たなければ後悔することになる、なんて話じゃないのでしょうね、きっと。
続きが気になります~
by (2008-01-28 00:21) 

よっちゃん

「学研」と聞くだけで、私は、まさしく実家が本屋さんでしたら、この学研の学習・科学、これで、生計をたてていました。
父が、学校に出向いて行って、校内で販売させてもらっていました。
だから、小学校での私のあだ名の一つに、「学研のおっちゃん」でした。それも、父はつるつるのはげちゃびんでした。そのころは今のようにいじめも無く、私も、あまり気にすることなく、登校してました。
懐かしい昔を、亡き父を思い起こさせてくれて、ありがとうございました。
by よっちゃん (2008-01-28 08:19) 

銀河の彼方

私は「学習」を購読してました。
何故か、保健室に本屋さんが来られて並んでは受け取っていたことを思いだします。「科学」の付録はハンパじゃなかったです。
しかし、うらやましさを抱えながらも、ずっと「学習」派でした。
ご紹介の童話は読んだことがありませんが、「記者」と言う仕事、今でも
憧れです。しかも「動物記者」なんていいですね~。
ジャーナっていう名前も魅力を感じます。
あ~、最後どうなるんでしょう?
そういえば、日本にも「ききみみずきん」っていう話ありましたよね。
これは、何度も読んでいるはずなのに・・・・・・結末を思い出せません。
トホホ・・・・です。
by 銀河の彼方 (2008-01-28 20:32) 

びっけ

カオルさん、nice!&コメントありがとうございます。
◆追記◆で、後半のストーリーを書きましたので、ご覧くださいませ。

記事に書くと、さらに長くなるので、意図的に省略しましたが、途中で、洋装店の店員というキーパーソンが出てきます。
この店員が主人公に高額な赤いコートや帽子やネックレスをすすめるのです。
それに目がくらんだ主人公が大手新聞社に自分を売り込みに行くという展開です。
最後に、自分のおろかさに気がついた主人公は、そのコートを返しに行くのですが、その店員は消えていて・・・。
その赤いコート・・・よく見ると、おそろしい赤色・・・。
悪魔が売りつけたのではないのかしら?と、店の娘は言うのでした。
by びっけ (2008-01-28 21:36) 

びっけ

よっちゃんさん、コメントありがとうございます。
小学生時代、学研の「学習」と「科学」、購読していました。
休み時間に指定された場所(確か、昇降口? 階段そばのスペース?)にお金の入った集金袋を持っていって、並んで買ったものです。

お父様の手から、大勢の子ども達が、楽しいひとときを受け取っていたことでしょう。
by びっけ (2008-01-28 21:39) 

びっけ

銀河の彼方さん、コメントありがとうございます。
「学習」は、特に夏休み特大号(分厚くて、読み物満載!)が楽しみでした。
それから、小学生のうちに読んでおきたい児童書・・・みたいなブック・リストの付録は、私の貴重な読書案内書でした。

『とってもすてきな動物記者』の続きは、◆追記◆に書きましたので、ご覧くださいませ。

「ききみみずきん」・・・確か、殿様に褒美をもらって、めでたし、めでたし・・・だったような。(^^;
by びっけ (2008-01-28 21:42) 

よっちゃん

そうなんです。集金袋 ありました。みんな おつりのいらないようにきちんと入れてくれてました。 私は、自宅に帰ってこの袋から、お金を出して、お金の勘定をするのです。10円・100円・1000円と数えるのです。
硬貨は10個を積み上げて、数えていくのです。
最後に、この集金袋を束ねて、来月の販売の準備をしておきます。
あ~~~、 ほんま、思い出しました。  小学館の月刊誌等は、自転車の荷台にのせて、自宅に配達してました。1軒10円位のお駄賃をもらってました。  なんと、小金商売だったんでしょう。
by よっちゃん (2008-01-29 20:27) 

びっけ

たいへーさん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-01-29 20:51) 

びっけ

よっちゃんさん、コメントありがとうございます。
子どもの頃のよっちゃんさんが、子どもでもできる範囲で、お父さんの仕事の手伝いをしていたようすが、うかがえて、なんか、心が暖かくなりました。
あの頃の子ども達は、外でたくさん遊んでもいたけれど、おうちの手伝いも、しっかり やって(やらされて?)ましたよね。
by びっけ (2008-01-29 20:51) 

おお、続きありがとうございます!
信頼を無くすのはたやすいけれど、取り戻すのは命がけってことですね。
by (2008-01-29 23:54) 

びっけ

カオルさん、コメントありがとうございます。
無くした信頼を取り戻す・・・去年からお騒がせの食品偽装のあれこれも、命懸け・・・くらいの気持ちで信頼回復してほしいです。
by びっけ (2008-01-30 20:01) 

びっけ

アートフル ドジャーさん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-02-04 16:34) 

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