SSブログ

『ブリキの太鼓』・・・声でガラスを割る少年 [映画]

先ほど、Yahoo!のトップページを見たら、こんな記事紹介がありました。

  ガラスは人間の声で割れる

クリックしてみたら、飛んだ先はディスカバリーチャンネルのHP。
それは「怪しい伝説」という番組で、伝説バスターなるメンバーが伝説の真偽を実験によって確かめる・・・という内容でした。
ワイングラスを人の声で割る実験を 3 分ちょっとの映像で紹介しています。

http://discovery.channel.yahoo.co.jp/index.php?itemid=21&auto_start=false

でも、私はそれほど驚きませんでした。
だって、あの映画に、そういうシーンがあったから!

ノーベル文学賞を受賞したギュンター・グラスの長編小説『ブリキの太鼓』を映画化した、この作品です。

『ブリキの太鼓』 1979 年、フォルカー・シュレンドルフ監督による西ドイツ、フランス、ポーランド、ユーゴスラビア合作の映画です。



ブリキの太鼓.jpg


主人公、オスカルは、三才の誕生日に母からブリキの太鼓を買ってもらいました。
太鼓を叩いて喜ぶオスカル。
しかし、その日、彼は ある決心をします。
僕は大人には ならない、成長するのをやめる!

その決意のとおり、身長も伸びず、いつまでも子どもの風貌のままでいるオスカル。
ちょっぴり・・・いや、かなり不気味です。(^^;
見かけは子どもだけれど、その顔つきは決して子どものそれではなく、大人の世界の醜さを知ってしまって嫌悪している・・・そんな複雑な表情なのです。

さらに、彼は ある特殊能力も身に付けました。

ブリキの太鼓を叩きながら高い声を出すことで ガラスを割る!という能力です。
窓ガラスも、教師のメガネも、柱時計のガラスも、みな割れます!

時は第二次世界大戦真っ只中、ナチスが近づいてくる気配が感じられます。
オスカルは やがてサーカスの団長と知り合い、そこで「小さい人」として生きる方法を教えられます。

母は不倫の果てに自殺し
実父はオスカルの目前でナチスに殺され
義父もソ連兵に殺され
義母とは関係をもっちゃう?オスカル・・・。
あれっ?君って成長するのをやめて子どものままじゃなかったの?
(^^;

ウナギ好きな人は、決して見てはいけないシーンもあります。

もう一度、観たいか?と聞かれたら、ノー・サンキューですし
お気に入りなの?と聞かれても、首を横に振りますが(笑)
記憶からは決して消えない映画です。


こちらが、原作『ブリキの太鼓』
文庫では全三巻になっています。



ブリキの太鼓1.jpg

ブリキの太鼓 第1部 (集英社文庫 ク 2-2)

  •  ギュンター・グラス
  •  集英社
  •  1978/09
  •  文庫

タグ:映画 1970年代
nice!(9)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 9

コメント 20

たいへー

体が子供で心が大人・・・
これは地獄のような状態ですな・・・
酒もタバコも出来ませんねぇ。(あれ?
by たいへー (2010-01-23 07:34) 

Betty

好きじゃないけど忘れられない映画なのですね
確かに、見た目・内容と共にジメジメとした感じがありそうです。

原作は読んでみたいと思いましたよ。読みづらそうですけどねぇ~><;
by Betty (2010-01-23 10:39) 

流れ者てりー

TVでみたときは、全篇 重暗~い調子ではありましたが、
考え込ませるようなかんじはありませんでした。
小っさい声で、グラスをグラビュール? するシーンが印象的です。
by 流れ者てりー (2010-01-23 13:34) 

しーちゃん

私の数少ない劇場で見た映画の一つです。当時こういうアート系(?)にハマっておりまして。ウナギのシーンは強烈でしたね!
by しーちゃん (2010-01-23 17:34) 

びっけ

たいへーさん、nice!&コメントありがとうございます。
心は今現在で、体は20代! これが理想です・・・あれっ?(笑)
by びっけ (2010-01-23 20:27) 

びっけ

@ミックさん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2010-01-23 20:28) 

びっけ

Betty さん、nice!&コメントありがとうございます。
画面の色合いは暗くなくて明るめなのですが、内容が、ちょっとグロイです。(^^;
原作も挑戦しましたが、途中でリタイアしました。
一つ一つのエピソードは、まぁまぁ面白いのですがねぇ・・・。
第二次世界大戦頃の民族間の確執などを知っていると、より深く読み解けるかもしれません。
by びっけ (2010-01-23 20:31) 

びっけ

流れ者てりーさん、コメントありがとうございます。
オスカルが声でグラビュールするシーンがありましたか!
すっかり忘れております。(^^;
by びっけ (2010-01-23 20:51) 

びっけ

しーちゃんさん、nice!&コメントありがとうございます。
劇場で映画を観ると、他の人の反応もわかるのがいいですよね。
皆、ウナギのシーンでは、顔をそむけていたかしら?(^^;
by びっけ (2010-01-23 20:53) 

ぼんくらオヤジ

これはぼんくらにとって一生忘れられない映画です。
20代の頃に抱えていたいろんな悩みを凝縮した内容で、
何十回となく観ました。誰にでもありますよね、
そーゆー映画って♪
by ぼんくらオヤジ (2010-01-23 21:39) 

barbermama

私も驚きません。
ジュリー・アンドリュースの映画『ビクター/ビクトリア』に
クラブのオーディションを受けるシーンがあるのですが
その素晴らしいソプラノでワイングラスが割れてしまうのです。
演出だろうけど、ジュリー・アンドリュースの美声ならさもありなんと妙に納得し、
映画の中でそのシーンだけ強く記憶に残ってます(笑)。
by barbermama (2010-01-24 09:44) 

あんみつ

肩こりそうな映画ですね・・・^^;
by あんみつ (2010-01-24 16:50) 

びっけ

ぼんくらオヤジさん、nice!&コメントありがとうございます。
そうですね、人それぞれ、忘れられない大切な映画ってありますね。
20代の頃、何度も観た映画・・・私の場合は『フラッシュ・ダンス』と『ブレードランナー』と・・・(^^;
by びっけ (2010-01-24 22:33) 

びっけ

barbermama さん、nice!&コメントありがとうございます。
おぉっ! 『ビクター/ビクトリア』は観ていないのですが、すごく観たくなりました。
ジュリー・アンドリュース・・・本当に美しい歌声ですよね。
『サウンド・オブ・ミュージック』で彼女が歌う曲、どれも逸品ですわ!
by びっけ (2010-01-24 22:54) 

びっけ

あんみつさん、nice!&コメントありがとうございます。
そうですね、ちょっと万人向けとは言いがたい映画ですね。(^^;
by びっけ (2010-01-24 23:00) 

inuneko

以前、初対面の方とこの映画の話となった瞬間、偶然二人同時に架空の太鼓を叩きながら叫びだしたものだから同席した先方の彼女に爆笑された覚えがあります。あの技が可能だったとは。現実も捨てたもんじゃないですね。
by inuneko (2010-01-25 02:02) 

びっけ

inuneko さん、nice!&コメントありがとうございます。
>偶然二人同時に架空の太鼓を叩きながら叫びだしたものだから
いやぁ、これは驚かれるでしょう!(^◇^)
私は未だかつて、現実世界では、この映画を観たという人に会ってませんが、もし会っても、真似しないようにしたいと思います。(笑)
by びっけ (2010-01-25 22:05) 

びっけ

佐藤さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2010-01-25 22:13) 

ルゥルゥ

びっけさん、お久しぶりです。


ブリキの太鼓、懐かしいです。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚に訴えてくるタイプの映画ではないでしょうか。
あと、色んな暗喩を含んでいるような…
私には難しすぎますが。


びっけさんの解説を読んで、私もある時期で自分の成長を止めた(つもり)ことを今、何となく自覚しました。
by ルゥルゥ (2010-01-27 09:21) 

びっけ

ルゥルゥさん、コメントありがとうございます。
>視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚に訴えてくるタイプの映画ではないでしょうか。
あぁ! なるほど!
ルゥルゥさんのコメントを読んで、画面の色合いは明るめなのに生々しい感じがするのは、そういう描写が多いからかも・・・と思いました。
暗喩・・・多そうですよね。私も理解しきれていません。(^^;
by びっけ (2010-01-27 23:53) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。