『天国の門』のウォーケン [クリストファー・ウォーケン]
1981年、マイケル・チミノ監督作品。
『天国の門』・・・知る人ぞ知る、ハリウッドのディザスター(厄災)と言われた作品です。
制作費が当時3600万ドル、日本円にして約80億円!
別に最新鋭の特撮を使ったわけではありません。本物にこだわって作ったからこうなったらしいです。
当時のパンフレット(処分したと思ったのに取ってあったの!)によれば・・・
・2500人のエキストラ (まぁ、これくらいはありかな?)
・1000頭の馬
・80台の幌馬車
・3トンの火薬 (念のため・・・戦争映画では、ありません)
・ユニオン・パシフィック鉄道の完全再現 (これにお金がかかったんじゃないかなぁ・・・)
この映画は興行的にも大失敗で、その後しばらくチミノは疫病神としてハリウッドから追放?
『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』で小復活を遂げるまで、干されていたのでした。
でも、まぁ、映画の制作費用が膨大だろうが、観る方にはそれほど関係ありません。
要は中味! 面白い、感動する、そういう映画なら私はかまいません。
たとえ上映時間が2時間19分と、やや長時間だろうと・・・。
しかし、この映画は映画館で観たのですが、上映が終わって出てきた人々の表情が一様にお疲れモードのように見えたのは、私の気のせいでしょうか?
とにかく、ストーリーが・・・・・・。
・・・暗い、長い、単調、救いがない・・・。
私は、観終わってドッと疲れがでた映画でした。
そのストーリーは・・・。
1891年、アメリカのワイオミング州で起きた実話’ジョンソン・カウンティ・ウォー’が基になっています。
頻発する牛泥棒に業を煮やした家畜業者協会(大牧場主たち)は、巧妙な法案を議会に提出し、それを可決させます。
それは焼印を押していない牛が発見されたら、それはワイオミング家畜業者協会の牛になるという州法。
もちろん小牧場主たちは反対します。
すると、家畜業者協会は手を回して、恐ろしい議案を可決させてしまうのです。
牛泥棒の対策としてスィート・ウォーターの移民125名を粛清するという議案です。
一殺50ドルで仕事を請け負った22名のガンマンたちが、罪もない、まっとうに生きている小牧場主たち(主に東ヨーロッパからの移民で貧しい人たち)を殺しに来る!
これを知った保安官が、小牧場主たちと自警団を作り襲撃に備えるのですが・・・。
・・・うーん、これは、アメリカにとって消し去りたいおぞましい史実でしょうね。
ですから、この映画が上映されるや非難轟々、興行的に大失敗だったというのも、うなづけます。
しかし、こうした題材を映画にしようとして、しちゃったマイケル・チミノはある意味、凄いですよね。
自国の恥ずべき過去にきちんと向き合って自分の主張を訴えようとしたわけですから・・・。
本作品の主人公は移民たちを守ろうと孤軍奮闘する保安官、ジェームズ・アベリル(クリス・クリストファーソン)です。
そして、彼が想いを寄せている女性が、娼館の女主人エラ(イザベル・ユッペール)。
で、クリストファー・ウォーケンです。
ウォーケンは、ガンマンのネイト・チャンピオンを演じています。
このネイトもヒロインのエラのことが好きなのです。まぁ、いわゆる三角関係ですわね。
で、ネイト・チャンピオンは最初は大牧場主たちに雇われた殺し屋の一人でした。
ですが、反旗をひるがえし、保安官と共に貧しい移民を守ろうとするのです。
実に男気のあるガンマンであります。
主役のアベリル保安官がハーバード大卒のインテリとして描かれているのに対し、ウォーケン演じるチャンピオンは粗野な文盲の殺し屋です。
最後にネイトが「エラを頼む・・・」と保安官に託した手紙!
文盲の彼は、一生懸命、字を覚えて練習していたのです。そのたどたどしい筆跡に・・・涙!
驚いたことに完全版、つまり219分版のDVDが出ておりました。
219分って・・・3時間と39分ですよ!!
いやぁ、マイケル・チミノ作品、根性が必要です。
左から、クリストファー・ウォーケン、イザベラ・ユッペール、クリス・クリストファーソン です。
箱屋さん、nice!ありがとうございます。
by びっけ (2007-03-29 23:51)
ぴっけさんごめんなさい(笑)
この映画は見てません。
ですが。
クリストファー・ウォーケンの名前が出て来て、素通りは出来ません(笑)
ディア・ハンターでの、ニック役すきでした。
デ・ニーロ主演映画の中でも1・2を争う映画だと思ってます。
ロシアン・ルーレットのシーンは。
今でも、目に焼きついています。
by (2007-03-30 23:00)
RONさん、nice!&コメントありがとうございます。
いえいえ、RONさん、この映画を観ている人の方がきっと天然記念物?!並に少ないかと思います。
私、ウォーケンが大好きなんです!
ウォーケンに反応していただいただけでも感謝感激です!
『ディア・ハンター』の彼は秀逸でしたよね。
あのロシアン・ルーレット・・・特に最初のベトコンとの緊迫したシーン。
映画を観ながら「もう、お願いだからやめて!」と叫びそうになりましたよ。
で、実際問題、あのシーン見るの怖さに、映画館で一度観たきりの映画でもあるのです。
by びっけ (2007-03-30 23:22)
子犬のプルーからたどり着きましたが、なんとクリストファー・ウォーケンじゃないですか・・!?
クリストファー・ウォーケンといえば、「天国の門」、と勝手に思ってます。映画そのものより、金かけた割にアメリカで全くヒットしなかった事の方が話題でしたね。
by Bee (2008-05-02 00:49)
Beeさん、コメントありがとうございます。
『小犬のプルー』つながりで、ウォーケンの記事に来ていただけたとは!
感激です。
低予算でも興行収入が高い映画もありますものね。
やっぱり投資対効果は重要ですね。(^^;
by びっけ (2008-05-06 01:19)